イデア論(読み)イデアろん(その他表記)Idea

旺文社世界史事典 三訂版 「イデア論」の解説

イデア論
イデアろん
Idea

古代ギリシアの哲学者プラトンの中心的な哲学思想
イデアとは形相すなわち本質の意。プラトンは観念をイデアと解したが,これは経験によって知られるのではなく,生前に霊魂が住んでいた神の国を想起する(概念想起説)ことによって知られるとした。すなわち,イデアを,経験的諸事物の本質ではあるが,それらを超越している観念的実体と考えた。このことによって,プラトンは観念論哲学の古典的代表者とみなされている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「イデア論」の解説

イデア論(イデアろん)
Idea

プラトン哲学の体系。そこで最も重要な術語はイデアであるが,それは単なる観念をさすのではなく,美,正義などの種々のイデアは,個々のものが「関与し」範とすべき,いわば永遠不変の秩序をさす。こういうイデアの世界に比べると,個々のものは多少なりともイデアに関係して存在しているわけであるが,不完全で,生滅的なものにすぎないことになる。

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世界大百科事典(旧版)内のイデア論の言及

【イデア】より

…もともとは動詞idein(見る)に対応して〈みめ〉〈姿〉〈形〉を意味するギリシア語。プラトン哲学において〈エイドスeidos〉(この語も同根同義)とともに〈真実在〉を指すのに用いられ,これに関するプラトンの学説がイデア論と呼ばれる。ただし,〈イデア〉や〈エイドス〉がその意味での哲学用語として固定化されたのはアリストテレス以降のことであり,プラトン自身は専門用語として統一的に使用しているわけではない。…

【西洋哲学】より

…しかし,山にそびえている樫の木や牧場に遊ぶ羊のようないわゆる自然的存在者の場合には,想像のなかでさえそうした形相と質料を区別することはできない。してみれば,プラトンのイデア論は,まず制作物の存在構造をモデルにして基本的カテゴリーを確立し,それを多少無理にでも自然的存在者に押しつけようとする存在論だと考えてよさそうである。事実,プラトンはイデア論を説く際,まず机とかベッドとかいった制作物を例にして話をはじめている。…

※「イデア論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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