イラモミ(読み)いらもみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イラモミ」の意味・わかりやすい解説

イラモミ
いらもみ
[学] Picea alcoquiana (Veitch ex Lindl.) Carr.
Picea bicolor (Maxim.) Mayr

マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉高木で、樹幹は直立し、大きいものは高さ30メートル、直径1メートルに達する。別名マツハダ。樹皮灰褐色。葉は線形で多少湾曲し、若木では先は鋭くとがり、老木では鈍くとがる。雌雄同株。5月に開花し、雄花淡紫色雌花暗紫色。球果は長楕円(ちょうだえん)状円柱形で長さ5~12センチメートル、初め紫色、10月に成熟して汚褐色となる。材は建築、器具、パルプとして使われる。本州の関東、中部地方の亜高山帯に分布する。

[林 弥栄 2018年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のイラモミの言及

【トウヒ(唐檜)】より

…おそらく老齢(約250年と推定される)過熟のためであろうが,似た現象はエゾマツの原生林などでもしばしば観察される。マツハダ,別名イラモミP.bicolor (Maxim.) Mayr(英名Alcock spruce)は,針葉が細くて短く長さ10~17mm,球果も長さ6~9cmと小さい。栃木県から岐阜県まで温帯と亜寒帯下部の山地に分布する。…

※「イラモミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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