インキュナブラ(読み)いんきゅなぶら(その他表記)incunabula

翻訳|incunabula

図書館情報学用語辞典 第5版 「インキュナブラ」の解説

インキュナブラ

15世紀(厳密には活版印刷術の発明された1450年代から1500年12月31日までの間)にヨーロッパ刊行された活字本総称揺籃期本,初期刊本ともいう.写本字体を模倣した活字が使われ,紙のほか獣皮紙も使用され,さらに写本のような彩色をほどこすこともあった.語源は,ゆりかごを意味するラテン語cunabulaで,印刷本の意味を表すようになったのは18世紀後半になってからである.インキュナブラの総合的な目録としては英国図書館のIncunabua Short Title Catalogueがある.この目録によれば,インキュナブラの総数は約4万と推定され,約3万点が現存し,そのうち3分の2はラテン語の著作である.また,ドイツのGesamtkatalog der Wiegendruckeは1925年に編纂が開始されたが,第二次大戦で中断された後,1978年になって刊行が再開,現在も刊行中である.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のインキュナブラの言及

【インクナブラ】より

…そこから1500年以前の西洋の印刷物の,いわば発生期のものを総称するようになった。日本ではインキュナブラと呼ぶことが多い。一枚刷り木版画は14世紀末からつくられ,1500年ごろまでにおよそ1万点現存する。…

※「インキュナブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android