ウィルキンソン(Geoffrey Wilkinson)(読み)うぃるきんそん(英語表記)Geoffrey Wilkinson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウィルキンソン(Geoffrey Wilkinson)
うぃるきんそん
Geoffrey Wilkinson
(1921―1996)

イギリスの化学者。ウェスト・ヨークシャー州に生まれる。1939年に奨学金を得てロンドン大学のインペリアル・カレッジに入学し1941年に卒業したが、第二次世界大戦のさなかで、軍事研究として核エネルギー開発計画に参加した。1943年にカナダの国立研究評議会に勤務、1950年マサチューセッツ工科大学での研究を経て、1951年ハーバード大学助教授となった。1955年イギリスに戻り、ロンドン大学の無機化学教授となった。1976年にはナイト爵位を受けている。

 学究生活の当初は原子核関係の研究についたが、1950年ごろから遷移金属錯体の研究に移行した。金属と水素結合をもった錯体の研究を進め、フェロセンの構造として、環状分子によって金属分子が挟まれたサンドイッチ化合物概念を提唱するなど、錯体化学の基礎研究およびその応用で大きな成果をあげた。その業績により、1973年にノーベル化学賞を受賞した。同じような研究を行っていたフィッシャーとの同時受賞であった。

[編集部 2018年6月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例