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水素結合 すいそけつごうhydrogen bond

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水素結合
すいそけつごう
hydrogen bond

水素原子は1価であるが,電気陰性度の大きな2個の原子X,Y (酸素,窒素,ハロゲンなど) の間に介在し,これらをつないでX-H……Yのように見かけ上2価のような結合状態を示す場合がある。これを水素結合という。たとえば酢酸や水は水素結合によって会合分子をつくる。結合の機構は電気陰性度の大きなX原子が水素原子電子を強くひきつける結果,水素原子はほとんど陽子 (プロトン) に近い状態になり,これと電気陰性度の大きなY原子との間にイオン結合類似の結合状態が生じるものと考えられている。水素結合の結合エネルギーは普通の化学結合に比べて小さく,8~40 KJ・mol-1 程度である。また結合距離も一般の化学結合に比べて長い。水素結合は沸点,融点,蒸発熱,誘電率赤外スペクトルなど物質の物理的性質に大きな影響を与え,の結晶構造,水の物理的性質,生体内の生化学的反応などに重要な役割を果している。

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知恵蔵の解説

水素結合

電気陰性度の値が水素より大きい(電子を引き付けやすい)酸素や窒素などと水素が結合すると、その水素はいくぶんプラスの電荷を帯びる。一方、電子を引き付けた酸素や窒素は、逆に若干マイナスの電荷を帯びる。このような少しプラスの電荷を帯びた水素原子と、別の分子のマイナスの電荷を帯びた原子との間に静電的引力が作用してできるのが水素結合。分子内に電荷の偏りがある分子を極性分子といい、水分子はその例。水素結合の強さ(結合エネルギー)は共有結合の約10分の1だが、分子間力(ファンデルワールス力)よりも1桁大きく、通常、20〜30キロジユール/モル(kJ/mol)程度の大きさ。水素結合が液体や固体中の水分子を結び付け、同族元素の類似分子である硫化水素やセレン化水素より融点も沸点も高い特性を示す要因になっている。また、ベンゼン環に付いた2つの官能基、例えばOH基のHとカルボキシル基のCOとの間を結び付ける分子内水素結合もある。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

水素結合【すいそけつごう】

二つの陰性の強い原子(N,O,F,Cl,Brなど)の間に水素原子が入ってできる結合。通常の共有結合より結合エネルギーが小さく(モル当り10〜20kJ前後),弱い結合である。
→関連項目会合(化学)化学結合分子間力

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栄養・生化学辞典の解説

水素結合

 極性のある分子の分極した部分同士が静電引力で結合すること.分子間でも分子内でも生じる.

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世界大百科事典 第2版の解説

すいそけつごう【水素結合 hydrogen bond】

化学結合の一種。水素原子は原子核(陽子)のまわりに1個の電子しかなく,他の電気陰性度の大きい原子(窒素N,酸素O,フッ素Fなど)との化学結合にその電子を使うと,その電子は相手原子に引き寄せられ,自身は陽に帯電した裸の原子核だけになりやすい。また近くに陰性の強い別の原子があると,これと引き合って弱いながらも結合をつくるようになる。このような結合を水素結合という(図)。普通の共有結合に比べて強さは1/10くらいであるが,固体や液体の中で分子相互の配向を決める程度の結合力である。

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大辞林 第三版の解説

すいそけつごう【水素結合】

電気陰性度の高い二個の原子が水素原子を介して結びつく化学結合。共有結合より弱いが、分子間力より強い。氷や水の中の水分子どうしの結合、ポリペプチド間の結合、 DNA の塩基対えんきついの形成などはその例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水素結合
すいそけつごう
hydrogen bond

二つの原子間に水素原子が入る化学結合。アメリカのポーリングによって提唱されたときは、水素橋結合といわれた。すなわち、水素原子が仲立ちとなって、電気陰性度の大きい二つの原子が弱い結合をつくると考えた。氷の中の水は、酸素原子が水素原子を仲立ちとしてダイヤモンド格子をつくっている。これを分子間水素結合という。o(オルト)-ヒドロキシベンズアルデヒドでは、オルト位のカルボニル基C=Oとヒドロキシ基-OHとの間に水素結合ができる。これを分子内水素結合という。水素結合の結合エネルギーは1モル当り約8.4~33.5キロジュール程度で、共有結合のそれの数分の1にあたる。いちばん強い水素結合は、フッ化水素にみられる(四十数キロジュール)。水素結合の結果、種々の物性に異常性がみられる。たとえば、水は同族の硫化水素H2S、セレン化水素H2Seより沸点・融点ともに高い。また、酢酸や安息香酸は通常、水素結合を介して二量体(2分子が結び付いた会合体)として存在している。[下沢 隆]

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世界大百科事典内の水素結合の言及

【化学結合】より


[化学結合の種類]
 化学結合には電荷の偏りぐあい,強弱など種々あるが,多くの化学的な事実から帰納的に大別するとイオン結合,共有結合,金属結合が重要である。そのほかに配位結合,水素結合,電荷移動相互作用など,また電気双極子や分極に基づく相互作用もある。さらにやや特殊なものとして一電子結合がある。…

※「水素結合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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