ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェサリウス」の意味・わかりやすい解説
ウェサリウス
Vesalius, Andreas
[没]1564.10.15. ザキントス島沖
ベルギーの解剖学者。近代解剖学の創始者。代々医薬を扱う家に生れ,父は裕福な宮廷薬剤師。ルーバンで教育を受け,1533~36年パリに遊学して医学を学んだが,実地研究の不備を痛感し,36年ルーバンに戻り,刑場に行き人骨を採集して研究にふけった。 37年,23歳でパトバ大学の外科学,解剖学の教授となる。当時はパドバ大学の全盛期で,死刑囚の死体処理についても特別な配慮が与えられ,豊富な資料を得て研究を重ねることができた。 38年に学生のために『6枚の解剖図』を出版し,43年に動物体をそのまま人体になぞらえたガレノスの解剖学をくつがえす大著"De Humàni corporis fabrica" (通称ファブリカ ) および『提要』を刊行した。その直後にドイツ皇帝カルル5世の侍医となり,その後同皇帝の皇太子フェリペ2世の侍医としてスペインに住んだが,63年ベネチアからエルサレムに巡礼の旅に出て,帰路,難船のためギリシアのザキントス島沖で客死した。
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