ウェルドニッヒ・ホフマン病(読み)ウェルドニッヒ・ホフマンびょう(英語表記)Werdnig-Hoffmann disease

六訂版 家庭医学大全科 の解説

ウェルドニッヒ・ホフマン病
ウェルドニッヒ・ホフマンびょう
Werdnig-Hoffmann disease
(脳・神経・筋の病気)

 脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)のⅠ型と分類されます。常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)遺伝の形式をとり、両親には症状はありません。

 急性乳児型ともいわれ、胎生期から生後6カ月までに発症します。発症後は運動発達が止まり、いわゆるぐにゃぐにゃ乳児(フロッピーインファント)の状態で、寝返りができなかったり、支えなしに座ることができなかったりします。

 哺乳困難、嚥下(えんげ)困難があり、ミルク誤嚥(ごえん)したり呼吸困難を発症するため、早期に重篤な状態になります。

 また、そこまで急性ではないⅡ型、中間型も存在します。これらは1歳6カ月までに発症し、生涯にわたって起立歩行が不可能ですが、2歳以上生存できます。症状として、舌の萎縮手指の震え、側弯(そくわん)が認められます。

鈴木 瑞枝, 黒岩 義之

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 の解説

うぇるどにっひほふまんびょう【ウェルドニッヒ・ホフマン病 Werdnig-Hoffmann Disease】

[どんな病気か]
 神経原性筋萎縮症(しんけいげんせいきんいしゅくしょう)(筋肉を動かす神経に障害がおこる(「神経筋疾患とは」の筋萎縮症))の先天型です。
 神経原性筋萎縮症は遠位筋(えんいきん)(手足の先などの心臓から遠い筋肉)がやせるのが原則ですが、本症では近位筋(きんいきん)(肩、腰などの心臓に近いほうの筋肉)がおかされるミオパチーと同様、おもに躯幹くかん)(胴体(どうたい))に筋力の低下がみられます。
 脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)の一種で、常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)します。
[症状]
 生まれたときからフロッピーベビー(コラム「フロッピーインファント」)の症状がみられ、まもなく呼吸筋まひから呼吸不全となって、人工呼吸器による治療が必要になります。典型的なウェルドニッヒ・ホフマン病では、4歳までに呼吸不全で死亡するとされています。
 知能の低下はなく、ふつうの子どもより高いといわれています。
 中間型(症状が軽い良性型)は予後がよく、成人できます。遺伝子が解明され、遺伝子診断が可能になりました。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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