ウォルムス(René Worms)(読み)うぉるむす(英語表記)René Worms

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウォルムス(René Worms)
うぉるむす
René Worms
(1869―1926)

フランスの哲学者、社会学者。レンヌに生まれる。初期の哲学研究から、法律、文学、経済学などの研究で得た博識をもって社会学の研究に進む。その間カーン大学の法学教授、パリ商業学院の経済学教授を経て、高等研究院(エコール・デ・オート・ゼチュード)の社会学史教授を歴任した。社会学への主要な貢献は編集者、組織者としての役割で、1892年『国際社会学評論』を創刊、翌1893年国際社会学協会を設立し『国際社会学叢書(そうしょ)』を監修した。1895年パリ社会学会を設立。1924年参事院の官職就任

 彼の社会学は、当初『有機体と社会』(1896)において、当時威信を得つつあった進化論的生物学の影響を受け、社会は生物有機体と同じ一般法則に服すが、社会は生物有機体より高い進化段階にある、より複雑な「超有機体」であるとする社会有機体説を掲げた。有機体説への批判の高まりを意識して、後期の著作では、生物学的要因より心理的要因に力点を移し、初期の、社会と生物有機体との強引なアナロジーを緩和した。

[古賀英三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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