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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
社会を生物有機体になぞらえて把握する社会観で、社会機構体説と対比される。社会を機械的なメカニズムをもつものととらえる社会機構体説では、ちょうど時計を分解して掃除し再度組み立てることができるように、社会も全体が部分の積み重ねでできていると考えられる。これに反して、社会を生物有機体になぞらえる社会有機体説では、生物を部分に分解すれば死んでしまうから、一度死んだ部分をいくら積み重ねても生命は戻らない、つまり全体は部分からなるのでなく、全体は部分に先だつという考え方になる。さらに有機体とのアナロジーを推し進めて、社会的分業を有機体の諸器官の機能分化とその相互依存になぞらえれば、社会の諸部分は全体を維持するための諸機能をもって存在するという機能主義的な考え方に帰着する。
このような社会有機体説は、コント、スペンサーの古典的な総合社会学にみられる。とくにスペンサーは、進化の一般法則、つまり容積の増大、統合の発達、同質性から異質性への移行という法則が、個人有機体と同様、社会有機体にも適用されることを示そうとした。ロシアの社会学者リリエンフェルトは社会のあらゆる諸機能を有機体の諸機能と同一視した。ドイツの社会学者シェッフレは『社会体の構造と生命』(1875)の初版ではこうしたアナロジーを多く用いていたが、後の版ではその割合は減り、のちには有機体説を断念した。ベルギーの社会学者ド・グレーフGuillaume Joseph De Greef(1842―1924)は、社会を、生物有機体と同じ進歩と退歩の法則に服す「最高度の有機体」とみなした。
フランスでの代表者はエスピナスとウォルムスで、前者は、細胞とその他の有機的な諸要因の集合としての生物がすでに社会であることを論証しようとした。ウォルムスは最初、社会有機体説をとったが、のちにはそれを放棄したように、大部分の社会有機体論者は当初の狭隘(きょうあい)な視点を放棄し、今日ではこのような考え方は克服されている。
[古賀英三郎]
『J・ラムネー著、山田隆夫訳『スペンサーの社会学』(1970・風媒社)』▽『大河内一男他編『世界の名著36 コント/スペンサー』(1970・中央公論社)』
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
「国家有機体説」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…機能主義というのは機能に着目する考え方というほどの意味であって,部分と全体との機能的な連関に着目することによって,社会事象の生起に関して種々の解釈ないし説明を与えようとするアプローチにほかならない。
[学説史的背景]
機能主義的思考の二つの古典的な形態は,社会有機体説と社会機械論に求められる。社会有機体説は生物学的な知見の社会事象への適用,社会機械論は力学的な知見の社会事象への適用である。…
…この考えかたは古くから存在する。人間の社会を一つの超個体であるとし,個々の個体(個人)をその器官であるとみなす社会有機体説social organicismはその一つである。 いずれにせよこれらの例は,われわれが半ば自明のものと思っている個体というものが,その実体においても概念においても,けっして単純ではないことを示している。…
…その代表作《社会学としての歴史哲学》(1897)において,社会学と歴史哲学を同一視し,社会学は歴史の一般化的考察を行い,一般概念および一般法則を設定するものと規定している。また一方で,H.スペンサー,W.ブントらの影響を受けて,社会を精神的・意志的な有機体ととらえる〈社会有機体説〉に立脚し,その立場から教育の機能を社会における精神的伝播・繁殖にあるとした。したがって教育者は教育史を知る必要があり,教育史は社会学的・精神史的に構成されなければならないと説いた。…
※「社会有機体説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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