改訂新版 世界大百科事典 「オレイルアルコール」の意味・わかりやすい解説
オレイルアルコール
oleyl alcohol
オレインアルコールolein alcoholともいう。二重結合を1個もつ代表的な不飽和高級アルコール。化学式CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7CH2OH。マッコウ鯨油,ツチ鯨油などに含まれている。無色の液体で,融点2℃,沸点208~210℃(15mmHg),比重0.8485(20℃),屈折率1.4607。マッコウ鯨脳油の不ケン化物を約3倍のアセトンに溶解し,冷却して析出する固体をろ(濾)別したろ液を蒸発させて液体不ケン化物を分取する。これをアセチル化して減圧蒸留(15mmHg)し,215~220℃留分を取り,加水分解すると得られる。化粧クリームの油性原料として皮膚を柔軟にするために用いられる。捕鯨産業の盛んだった時代には高級アルコール原料として界面活性剤原料に利用されたが,現在は合成品に代替されている。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報