カイプ(英語表記)Aelbert Cuyp

改訂新版 世界大百科事典 「カイプ」の意味・わかりやすい解説

カイプ
Aelbert Cuyp
生没年:1620-91

オランダの風景画家。ドルトレヒトに生まれ,肖像画家であった父に学ぶ。ファン・ホイエン風の様式から出発するが,徐々にさまざまな時刻における陽光特質の描出に関心を集中し,とりわけクロード・ロランにも通ずるような“黄金の光”に満たされた夕刻牧場渓谷の風景に独自の画風を確立した。17世紀オランダ画家としては画題は広く,他に海景や肖像の作品も多いが,1658年の結婚によって財産と社会的地位を得てからのち,絵はあまり描かなかったらしい。彼の作品は18~19世紀のイギリスで高く評価され,同国の風景画の発展に絶大な影響を及ぼした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android