改訂新版 世界大百科事典 「ファンホイエン」の意味・わかりやすい解説
ファン・ホイエン
Jan van Goyen
生没年:1596-1656
オランダの風景画家。ライデンに生まれ,同市とホールンで画業を学んだのちハールレムでE.ファン・デ・フェルデに師事。故郷で活動した後1631年にハーグに移り,同地で没。村や冬景色を題材とした初期の作品には師の影響が強いが,1620年代後半から固有色を排し抑制された色調で川辺や砂丘の風景を描きはじめ,いわゆる〈色調様式〉を確立。30年代後半から40年代にはこの傾向がいっそう強まり,淡褐色もしくは淡緑色の濃淡だけですべての表現がなされている。同様の傾向を示したハールレムのサロモン・ファン・ロイスダールと共に,17世紀前半のオランダにおける最も重要な風景画家であるが,画面を細密に仕上げず筆触を残す画法が時代の趣味から外れたため,19世紀中葉にバルビゾン派の画家たちが注目するまでは概して低い評価を受けていた。
執筆者:高橋 達史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報