改訂新版 世界大百科事典 「カゴカマス」の意味・わかりやすい解説
カゴカマス
Rexea prometheoides
スズキ目クロタチカマス科の海産魚。英名は体色からsilver kingfishという。カマスの名がついているが,カマスの仲間ではなく,マグロやサバに近縁な魚である。日本近海では駿河湾,熊野灘,土佐湾,沖縄などの太平洋岸の比較的深いところに生息し,また,オーストラリア,ニュージーランド近海にも分布している。体は側扁してやや延長し,青灰色で銀白色の光沢がある。側線が第1背びれの第5棘(きよく)の基底下で二つに分かれ,下方のものは体側を縦走して尾柄部にまで達する。背びれの前部に黒色斑が一つある。体長25cm以下の個体では胸びれの下方の腹面にのこぎりの歯のようなぎざぎざのある1本の棘からなる腹びれがあるが,成魚では消失する。全長40cmに達する。ほとんど生態はわかっていない。ときには底引網でかなりの量がとれることもあるが,漁業上は重要ではない。肉は水分が多いので塩干品とされるほか,練製品の原料としても利用される。
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報