カラッチ(Lodovico Carracci)(読み)からっち(英語表記)Lodovico Carracci

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カラッチ(Lodovico Carracci)
からっち
Lodovico Carracci
(1555―1619)

イタリアの画家。4月21日ボローニャの大聖堂で受洗、1619年11月13日同地で没した。アゴスティーノやアンニーバレの従兄弟(いとこ)。プロスペロ・フォンタナに学んだ。カラッチ一族の最年長者であり、美術学校アカデミア・ディ・インカンミナーティを創設(1582)するなど工房の運営や新様式の確立に指導的役割を果たした。初期の作品『聖パウロの回心』(1587)や『バルジェリーニの聖母』(1588。ともにボローニャ絵画館)には、ティントレットコレッジョの影響であるドラマチックな力強さと、光の効果の追求がみられる。『洗礼者ヨハネの説教』(1592・ボローニャ)では、より柔和で洗練された賦彩がされている。1602年5月31日から6月13日までローマに滞在した。後期の作品として、ボローニャのサン・ミケーレ・イン・ボスコ修道院回廊のフレスコ装飾(1604~05)、ピアチェンツァ大聖堂の祭壇画(1609)、『磔刑(たっけい)』(1614・フェッラーラ)などがあげられるが、その画風は一様でない。人体研究、遠近法、明暗法などを組織的に教授した。

[篠塚二三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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