ガルフオイル会社(英語表記)Gulf Oil Corp.

改訂新版 世界大百科事典 「ガルフオイル会社」の意味・わかりやすい解説

ガルフ・オイル[会社]
Gulf Oil Corp.

メロン財閥の支配するアメリカの石油会社。メジャーの一つ。本社ピッツバーグ。1907年設立の同名の旧会社を継承して22年設立,テキサス州ポート・アーサーを活動の本拠とし,ガルフ(メキシコ湾)油田の発展とともに成長,石油メジャーの一つとなった。同社はエクソンモービルとは対照的に産油(上流)部門の拡大に重点をおき,早くより石油開発に着手した。海外では1913年メキシコに進出,24年ベネズエラで油田開発,38年にはBPとともにクウェートブルガン油田の発見に成功,さらに54年イランのコンソーシアムに7%の利権を獲得した。ガルフの産油量は,クウェート原油の増産を中心として1950年代から60年代にかけて急増した。しかし70年代に入って,クウェート政府の実施した60%事業参加(1974),またベネズエラでも石油利権を失ったこと(1975)で財政状態を悪化させた。このような状態を打開するため,ガルフは70年代後半からいろいろの手を打ってきたが,石油過剰,石油価格停滞という悪環境もあって,84年スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(現,シェブロン・テキサコ)に買収された。売上高284億ドル(1982年12月期)。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のガルフオイル会社の言及

【シェブロン[会社]】より

…カルテックスの設立は,原油供給源をもちながら東半球に販路をもたないスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニアと,逆に市場はあるが供給源に乏しいテキサコの利害が一致したことの結果である。84年,七大メジャーの一つであるガルフ・オイル社の買収に成功し,アメリカ本土における供給源をも拡充した。売上高303億ドル(1994年12月期)。…

【メジャー】より

…現在ではエクソン社,モービル社,テキサコ社,シェブロン社(以上アメリカ系資本),ブリティッシュ・ペトロリアム社(イギリス系資本),ロイヤル・ダッチ・シェル社(イギリス,オランダ系資本,ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ)の6社をいう(1997)。1社少なくなっているのは,1984年初頭における激しい買収合戦の結果,メジャーのうちガルフ・オイル社が同じくメジャーのシェブロン社(当時はスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア社)に買収されたためである。 本来メジャーは,国際的に,生産,流通,精製,販売の活動を統合した一貫操業会社で,資本規模も大きく,世界の石油産業を支配してきた。…

【メロン財閥】より

…一方,1901年,テキサス州で発見された新油田の採掘を企てていたガフィー・オイル社の資金枯渇に乗じて,その株式の大半を買い占め,事実上これを支配してロックフェラーの石油独占に対抗した。同社は後にガルフ・オイルに発展し,海外へ積極的に進出,多くの石油権益を獲得した。トマスの子アンドリューAndrew W.M.(1855‐1937)は21年,財務長官に就任したが,在職中つねに資本家階級の利益代表として行動し,22年に成立させた未曾有の高率保護関税制度,フォードニー・マッカンバー法は,ALCOA社の独占維持に役立ったといわれている。…

※「ガルフオイル会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android