キャリートレード(読み)きゃりーとれーど

デジタル大辞泉 「キャリートレード」の意味・読み・例文・類語

キャリー‐トレード(carry trade)

機関投資家ヘッジファンドなどが、金利の低い通貨で投資資金を調達し、金利の高い通貨に交換して金融商品を購入、運用すること。運用益のほか、金利差分の利益が見込まれる。キャリー取引。→円キャリー取引

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「キャリートレード」の解説

キャリートレード

低金利の通貨を資金として調達し、より金利の高い他国の通貨に替えて、その国の金融商品を運用する取引。二つの通貨間の金利差が利益(利ざや)となるが、為替相場の影響も受けるため、為替レート変動による損益も加わる。キャリートレードで成果を上げるには、世界経済が安定していること、通貨の(予想)変動率であるボラティリティが限りなくゼロに近いことが条件とされる。かつては大手のヘッジファンドや巨大銀行のディーラーといった投機筋による運用が大半を占めていたが、2000年代以降、インターネットの普及などによって一般の個人投資家の間にも拡大した。取引額の増大で金融経済の少なくない部分を占めるに至ったことで、世界の実体経済に与える影響力も強まっている。
調達するファンディング通貨が円の場合、円キャリートレード(円キャリー取引)という。政府・日銀の金融緩和政策によって超低金利が続いている円を、豪州ドル、ブラジルレアル、トルコリラなど、高金利の通貨や金利上昇が見込まれる新興国の通貨に交換し、その債券や株式に投資するのが一般的な手法。円キャリートレードの活発化は、円売りを増大させ、結果として円の価値を下げる。そのため、円安をもたらす要因とも指摘される。キャリートレードのファンディング通貨としては、円のほか、低金利で流動性が高いユーロやスイスフランなども人気が高い(2018年時点)。

(大迫秀樹 フリー編集者/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

FX用語集 「キャリートレード」の解説

キャリートレード

低金利の資金を借り入れて、より金利の高い資産で運用する投資手法のことです。たとえば、「円ローンを組んで、巨額の円資金を借り入れ、その円資金でドルを買い、ドル転した資金で米国国債を購入する」ようなやり方です。この場合、円金利はドル金利に比べて安いので、米国国債の金利が高い分だけ、金利差を収益にできることになります。FX(外国為替保証金取引)のドル/円取引において、レバレッジをかけてドルを買い、スワップポイントを得るというのも一種のキャリートレードのようなものですが、為替レートの変動によっては差損が出る可能性もあることに注意が必要です。

出典 (株)外為どっとコムFX用語集について 情報

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