キレネ学派(読み)きれねがくは

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

北アフリカのキレネ出身のアリスティッポスによって紀元前4世紀初頭に創始された古代ギリシアの哲学の一学派。その特徴は快楽主義であって、快楽を善とし、快楽の追求を人生の目的としている。前3世紀初頭まで存続し、後のエピクロス学派に倫理面で大きな影響を与えた。この学派に所属する人々は、アリスティッポスの娘アレテ、アレテの息子の通称「母に教えられた」アリスティッポス、テオドロス、ヘゲシアス、アンニケリスなどであるが、彼らの唱える快楽説はさまざまである。開祖のアリスティッポスは、現在の肉体的な快感を快楽とし、快楽の多くは不快を招くから、思慮によって快楽を選択する必要があるとしたが、テオドロスによれば快楽とは思慮によってもたらされる楽しい気分であり、アンニケリスは友愛や祖国愛などにも歓(よろこ)びをみいだしている。ヘゲシアスは不快を含まない快楽はないと考えて、生活に無関心であることをよしとしたが、生活に無関心でいられなくなった暁には自殺したほうがよいと説いて、自殺勧誘者(ペイシタナトス)の異名をとった。快楽がこのような厭世(えんせい)観に行き着いたことは皮肉である。

[鈴木幹也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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