ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラテス[テーベ]」の意味・わかりやすい解説
クラテス[テーベ]
Kratēs; Crates of Thebes
[没]前286頃
古代ギリシアのキュニコス派 (犬儒派) の哲学者。シノペのディオゲネスの弟子。名門の出であったが全財産をアテネ市民に与え,悪徳と虚飾を徹底して批判した。彼には詩人の荘重な作品をパロディー化する才能があり,それによって他の哲学者を揶揄しキュニコス派的生活をたたえた。彼は哲学的な悲劇や書簡を書いたといわれ,彼の著とされる書簡は現存しているが偽書らしい。クラテスの哲学史上の重要性はストア派の創設者ゼノンに及ぼした影響にある。プルタルコスによる彼の伝記は現存していない。
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