日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クレメンス(7世)(アビニョン教皇)
くれめんす
Clemens Ⅶ
(1342―1394)
アビニョン教皇(在位1378~94)。グレゴリウス11世(在位1370~78)がローマに帰還してアビニョン教皇時代は終わったが、次に選出されたウルバヌス6世の選出をめぐって対立が起こり、これを無効とするフランス人枢機卿(すうききょう)を中心とする勢力は別に教皇を選んだ。この教皇がクレメンス7世である。ロベール・ド・ジュネーブRobert de Genèveを本名とするこの枢機卿はフランス王の甥(おい)にあたる。この教皇はふたたびアビニョンに教皇座を移し、ここに教会大分裂(シスマ)の時代(1378~1417)が始まった。
[磯見辰典]
『鈴木宣明著『ローマ教皇史』(教育社歴史新書)』▽『H・テュヒレ他著、上智大学中世思想研究所編・訳『キリスト教史4』(1981・講談社)』