グラスコーボ文化(読み)グラスコーボぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「グラスコーボ文化」の意味・わかりやすい解説

グラスコーボ文化 (グラスコーボぶんか)

ロシア,沿バイカル地方の青銅器時代初期の文化。アンガラ川の支流イルクート川の河口,イルクーツク市郊外グラスコーボGlazkovo入江で最初に発見された墓から文化名が名づけられた。1887年に,ビトコフスキーN.I.Vitkovskiiによって初めて発掘が開始され,その後,調査はオフチンニコフM.P.Ovchinnikovによって続けられ,1934-39年にはA.P.オクラドニコフによる調査が行われ,この文化は前1800-前1300年と年代づけられた。金属器の出現によって特徴づけられ,それははじめ銅製であり,のち青銅製となる。製品には刀子,釣針,環,針,装身具がある。また多数の石器,骨角器も使用された。活発な漁労活動を行い,父系制をとっていた。東方地域と深い関係をもち,貝製品中に遠く日本海などから持ち込まれたものがある。またこの文化の要素には,のちのシベリア森林民族のエベンキ族ユカギール族の文化に認められるものを有している。この文化期の土器は,丸底が主体で,刺突文や篦(へら)描き文をもつが,地文に方形の叩き目をもつものも見られる。この種の土器は,東ザバイカルのドロニン文化(前2千年紀),ヤクーツク地方のウイミャフタフ文化(3900-3100B.P.)に広く認められる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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