エベンキ族(読み)エベンキぞく(英語表記)Evenki

翻訳|Evenki

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エベンキ族」の意味・わかりやすい解説

エベンキ族
エベンキぞく
Evenki

ロシア,シベリアの少数民族中,最大の人口(約 7万)と分布領域をもつ民族。言語的にはツングース語系諸族の一つ。ロシア,クラスノヤルスク地方のエベンキにまとまって居住するほかは,西はオビ川とイルティシ川から東はオホーツク海沿岸,サハリンに及ぶシベリア全域に分散している。また中国の内モンゴル自治区周辺に数千人が居住し,以前はソロン(索倫)族と称されていた。そのため生業をはじめ言語,文化,社会のあらゆる面で地域差が著しい。さらに,オロチョン,マネギル,ビラールと呼ばれる民族があるが,言語・文化的にはいずれもエベンキに含まれる。全体として生産には狩猟,漁労,トナカイ飼養のさまざまな複合がみられ,またセーム革やシラカバ樹皮の円錐形天幕(チュム),前開き外套と胸当てを特徴とする衣服,シラカバ樹皮の舟,ゆりかごなどエベンキ族全体に共通する文化要素がある。社会組織は 17世紀に父系氏族(ハラ)の区分が知られており,親族名称は類別的で,各世代で年上,年下の区別がなされたことが特徴的である。宗教ではシャーマニズムの発達が顕著であり,またトナカイに関する呪術儀礼や自然崇拝,兄弟神の天地創造神話が認められる。1931年以降ソビエト連邦時代にはコルホーズ化されていた。

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