ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケマル」の意味・わかりやすい解説
ケマル
Kemal, Yaşar
[没]2015.2.28. イスタンブール
トルコのクルド系作家。本名 Kemal Sadik Gogceli。5歳のとき父が殺され,自身は事故で片目を失明した。アダナの中等学校を中途退学後,綿摘み労働者などさまざまな職業を経験した。1950年に政治活動で捕えられたが釈放され,翌 1951年にイスタンブールに移り,『共和国』Cumhuriyet紙の記者となる。優れたルポルタージュが認められアナトリア支局長に抜擢され,1963年まで勤めた。その間の 1955年に中編小説の "Teneke"と『やせっこメメッド』İnce Memedを発表。代表作となった『やせっこメメッド』は 20を上回る言語に翻訳され,ノーベル文学賞の候補にもあげられた。1984年に映画化。1962年にトルコ労働党の党員となり,1967年に左翼系週刊政治雑誌 "Ant"を創刊,1971年に当局に逮捕された。ほかに,三部作の "Ortadirek"(1960),"Yer demir, gök bakir"(1963),"Ölmez otu"(1968)などがある。作品には,故郷チュクロバ平原の人々の問題がトルコ民衆叙事詩の伝統をいかして生き生きと描き出されている。
ケマル
Kemal, Orhan
[没]1970
トルコの作家。本名 Mehmet Reşat Öǧütçü。父は国会議員。中学校卒業後,アダナで綿花工場の労働者,事務員として働いた。兵役中,反政府的言動のため3年半投獄され,1940年頃から社会主義リアリズムの立場をとった小説,戯曲,シナリオを発表,名声を得た。小説『肥沃な大地の上で』 Bereketli Topraklar Üzerinde (1954) ,『ストライキ』 Grev (54) 。
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