ケンブリッジ論争(読み)ケンブリッジろんそう(その他表記)Cambridge controversies

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケンブリッジ論争」の意味・わかりやすい解説

ケンブリッジ論争
ケンブリッジろんそう
Cambridge controversies

ケンブリッジ資本論争ともいう。 J.V.ロビンソン,N.カルドア,L.パジネッティらと,P.サミュエルソン,R.ソロー,D.レバーリらとの間でおもに資本の問題を中心に 1950年代初頭から行われた論争前者がおもにケンブリッジ大学のメンバーであるのに対し,後者はおもにマサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学ハーバード大学のメンバーから成るためこの名称がある。ソローらの新古典派成長理論では,マクロ的な社会的生産関数を想定し,限界生産力説によって生産と分配の理論が展開されている。これに対してロビンソンは 53年の論文『生産関数と資本理論』や 56年の著書『資本蓄積論』で,限界生産力によって生産や分配 (利潤率を含む) を説明しても,それは測定不可能なものを可能と憶断したにすぎず,一種の循環論であると批判した。さらに P.スラッファの著書『商品による商品の生産』 (1960) で提示された生産方法の再転換 reswitching問題がからみ,ひいては価格機構の有効性に対する信頼度という一種の資本主義観の問題まで加わった。

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