日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ゲラン(Maurice de Guérin)
げらん
Maurice de Guérin
(1810―1839)
フランスの詩人。南フランス、タルン県ル・ケーラの生まれ。1832年12月ブルターニュのラムネの塾に入り、その師や友との切磋琢磨(せっさたくま)の生活は『緑の手帖(てちょう)』と題された美しい日記と手紙に記録された。『サントール』は半人半馬のギリシアの神の世界を描いて鮮やかに生動する散文詩で、平田禿木(とくぼく)に邦訳がある。姉ウージェニーとともにマシュー・アーノルドの手でイギリスに紹介され、リルケの手で独訳された。堀辰雄(たつお)に「モオリス・ド・ゲランと姉ユウジェニイ」の一文がある。モーリスはパリで中学教師などを務めたが病気になり、故郷へ戻って29歳で姉に先だち夭逝(ようせい)した。
[平川祐弘]
『窪田般彌訳『世界名詩集大成2 サントール』(1960・平凡社)』▽『平川祐弘「モリス・ド・ゲラン」(『比較文学研究』1957年第1巻第1号所収・東大比較文学会)』