改訂新版 世界大百科事典 「コロンブ」の意味・わかりやすい解説
コロンブ
Jean Colombe
生没年:1430か35ころ-93
フランスの写本挿絵画家。ブールジュの芸術家一家に生まれる。フランス宮廷に関係する王侯貴族のための豪華な写本挿絵を制作した。ランブール兄弟が未完のままのこした《ベリー公のいとも豪華なる時禱書》を1480年代にサボア公のために完成させた。代表作に《ルイ・ド・ラバルの時禱書》(1480-85ころ),《ロミュレオン》(1490ころ)などの挿絵がある。構図や図像表現においてフーケの影響を示すが,動感にみちた群衆表現などにみられる感覚はフーケのもつ古典的精神とは異なる。なお《トロイア落城物語》(1500ころ)の挿絵は,彼の様式を継承した息子フランソアFrançois Colombe(?-1512)の作とされる。彫刻家コロンブMichel Colombe(1430ころ-1512ころ)はジャンの兄弟で,主にトゥールで活躍し,大理石浮彫《竜と闘うゲオルギウス》などをのこす。
執筆者:冨永 良子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報