サラモチコウモリ(英語表記)sucking disc bat
Myzopoda aurita

改訂新版 世界大百科事典 「サラモチコウモリ」の意味・わかりやすい解説

サラモチコウモリ (皿持蝙蝠)
sucking disc bat
Myzopoda aurita

翼手目サラモチコウモリ科Myzopodidae(1属1種)の哺乳類親指に大きな円盤状の吸盤があるのでこの名がある。マダガスカル島特産。新世界にすむスイツキコウモリ科のものに類似するが耳介がはるかに大きい。前腕長5cm,頭胴長6cm。耳介はウサギコウモリのように著しく大きく,迎珠(げいしゆ)は他のコウモリと違ってキノコ状で,その内側部は耳介と癒着し,耳の穴の一部をふさいでいる。前肢の第1指はきわめて小さく,その基部に円盤状の吸盤があり,そのつめが小さいが,この指の機能は明らかでない。歯は38本でホオヒゲコウモリ属のものに等しく形も似る。おそらく虫食性であろう。その他の生活史は不明である。アフリカケニアで中新世から化石が発見されているので,古くはアフリカにも広く分布していたと思われる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報