改訂新版 世界大百科事典 「サーランギー」の意味・わかりやすい解説
サーランギー
sāraṅgī
北インドの擦弦楽器。インド起源の民俗楽器として古くから使われてきた。17世紀ころから古典音楽にも取り入れられるようになり,今日ではおもに声楽の伴奏楽器として重要な位置を占めている。長さは約60cmで,1本の木をくりぬいて作られる。弓奏楽器は一般的にはバイオリンや三味線のように胴と棹の部分からなるが,サーランギーはこの二つが一体となり,全体がずんぐりとして長方形に近い形をしている。演奏弦は通常3本でガット弦を用いる。演奏弦の下側に金属の共鳴弦を何十本も張り,長い残響効果を出している。あぐらをかき,縦に構えて演奏するが,弦は上から押さえるのではなく,横から爪で押すようにして音程をとる。この奏法はかなり難しいため,サーランギーとシタールを合体させたディルルバーdilrubāで代用されることもある。
執筆者:的場 裕子
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