改訂新版 世界大百科事典 「シグナルフローグラフ」の意味・わかりやすい解説
シグナルフローグラフ
signal-flow graph
連立一次方程式が与えられたとき,それを代数演算により直接に解くのでなく,方程式を表現するグラフを対応させ,グラフ上で等価変換を施したりあるいはグラフの構造に着目して解く方法が1953年にメーソンS.J.Masonにより示された。独立変数および従属変数にグラフの節点を対応させ,方程式の係数に枝を対応させてグラフを描くもので,変数間の因果関係(信号の流れ)を的確に表示できるところに特徴があり,この意味でシグナルフローグラフとよばれる。これに基づく解法には,節点個数の少ないシグナルフローグラフに等価変換していく節点消去法と,注目する変数についてメーソンの公式とよばれる公式でグラフ構造から直接に解く方法がある。電気回路や自動制御系などの線形システムについて,多くの場合,シグナルフローグラフは方程式を経ずにシステムの等価回路から直接に導くことができ,線形システムの解析に広く利用されている。
執筆者:児玉 慎三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報