日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シャルパンチエ(Marc-Antoine Charpentier)
しゃるぱんちえ
Marc-Antoine Charpentier
(1634ころ―1704)
フランスの作曲家。パリ生まれ。絵画を学ぶためローマに留学したが音楽に転じ、パリに戻ったあとは劇作家モリエールと協力し舞台音楽を作曲、1680年以後ギーズ公妃の楽長に就任。84年以後イエズス会の教会と学校のために多数の宗教音楽、学校の演劇上演のための付随音楽を作曲した。98年からはパリのサント・シャペルの楽長を務め生涯を終えた。リュリに妨げられたこともあって王室の音楽家にはなれず、作品が生前に印刷されることもほとんどなかったため、長く忘れられていたが、第二次世界大戦後急速に作品が知られるようになった。イタリア音楽の豊かな表情をたたえた旋律、大胆な和声、綿密で繊細な音色の変化などにより、今日では17世紀後半のフランスを代表する音楽家とみなされている。彼は、オラトリオの形式のフランスへの導入者、フランス語による最初のカンタータ作曲者としても重要である。代表作にカンタータ『地獄にくだるオルフェ』(1683)、オペラ『メデ』(1693初演)などがある。
[美山良夫]