シリア北部の古代村落群(読み)シリアほくぶのこだいそんらくぐん

世界遺産詳解 「シリア北部の古代村落群」の解説

シリアほくぶのこだいそんらくぐん【シリア北部の古代村落群】

2011年に登録されたシリアの世界遺産(文化遺産)。シリア北西部、イドリブ県とアレッポ県の石灰岩山中にある40ほどの村落は、1~7世紀に農民が暮らし、8~10世紀の間に放棄されたが、現在でも住居や浴場多神教寺院、教会、貯水槽などの建造物や景観が、当時のままにきわめてよく保存されている。寺院、教会などの多くの古代の宗教施設からは、多神教や土着宗教が、キリスト教の普及に従って、徐々に教会を中心としたキリスト教文化に変わっていく過程を知ることができ、ビザンチン帝国時代にカトリックから東方正教会に信仰の枠組みが変遷していくさまも見ることができる。また、利水技術、防塁をはじめ、古代ローマ人の住民たちが農業生産に精通していたことを証明している。村落群は、現在は8つの公園の中に保存されているが、2011年以降のシリア騒乱で、国内外の注意を喚起するために、2013年に危機遺産リストに記載された。◇英名はAncient Villages of Northern Syria

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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