東京電力(読み)とうきょうでんりょく(英語表記)Tokyo Electric Power Company, Incorporated

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

東京電力
とうきょうでんりょく
Tokyo Electric Power Company, Incorporated

電力会社。1951年電気事業再編成令により関東配電日本発送電株式会社共同出資設立。電力供給区域は関東一円,山梨県,静岡県(富士川以東)。民間電力会社としては世界最大で,日本における原子力発電の先導的役割を果たした。関連会社に君津共同火力,常磐共同火力,日本原子力発電,東京発電などがある。2011年3月福島第一原子力発電所事故が発生。事故からの復旧,損害賠償の実施および電力の安定供給を目指し,政府の原子力損害賠償支援機構(2011.9.設立)から公的資金の投入を受け,2012年7月実質国有化された。

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知恵蔵の解説

東京電力

関東1都6県と山梨県の全域及び静岡県の一部をサービス区域とする電力会社で、東京都千代田区に本社を置く。正式名称を東京電力株式会社、略称は「東電」または「TEPCO」。日本の電力10社中で突出した事業規模で、世界最大級の民間電力会社。
東京電力の販売電力量は、イタリア1国分に匹敵する3千億キロワット時で、日本の総販売電力量の3分の1を占める。総資産も1兆4千億円を超え、ともに関西電力の約2倍の規模に相当。EDF(フランス電力公社)やE.ON(ドイツの旧国営会社)、GDFスエズ(旧フランスガス公社)、ENEL(旧イタリア国営)などの世界の電力トップ企業各社と肩を並べる。
東京電力の創立は1951年。太平洋戦争に向けた国家総動員体制の中で、日本各地の電力事業は、国策企業である日本発送電株式会社と9地域に分かれる配電会社に統合された。終戦後、この国家的な電力統制体制は、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の占領下における財閥解体の一環として、ポツダム政令によって再編された。これが、東京電力を含む現在の9電力会社(沖縄電力を除く)体制の原形である。東京電力の第5位の株主が東京都、関西電力の筆頭株主が大阪市であるように、自治体が金融機関や保険会社などと並び電力各社の株式を所有している。これは、戦後に自治体が電力設備を電力会社に引き渡したり、市街地の電柱、電線の整備を行ったりした経緯で株式を取得したためである。
戦後の電力供給体制の確立以降、自家発電などを除けば電力供給は地域ごとの電力各社による完全独占による公益事業となった。このため、電気料金は公共料金として政府が上限を認可する。料金算定の方式は総括原価制と呼ばれ、諸経費などの原価に一定の率を乗じた額が電力会社の報酬として確保され、その合計を総括原価とする。総括原価によって電気料金の基本が決まり、燃料価格の変動分を調整する額を合算したものが、家計が支払う電気料金となる。この方式には、コストを削減する誘因が働かないなどの弊害があり、巨額の投資を要する原子力発電所などの建設を競って進める要因にもなったとの見方もあり、経済産業省で見直しが進められている。なお、95年の電気事業法改正で特定電力事業者の参入が認められ、2000年からは、小売市場の部分的自由化も可能となったが、極めて限定的なものにとどまり、発送電分離の声が強い。
11年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の深刻な事故では、「想定外の天災」であるかのような無責任な対応や情報公開の遅さなど、多くの問題点が指摘された。02年に発覚した原子力発電所事故隠しなどのコンプライアンス欠如に加え、ガバナンスも不在ではないのかとの声が高まり、企業としてのあり方そのものが問われている。福島の事故による損害賠償や廃炉費用のため、巨額の負担を抱えることになり国の資金注入は避けられない。東京電力と政府原子力損害賠償支援機構が策定する総合特別事業計画に、同社の一時的な国有化及びその後の分離・改革などについて盛り込まれることになっている。

(金谷俊秀  ライター / 2012年)

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日本の企業がわかる事典2014-2015の解説

東京電力

正式社名「東京電力株式会社」。略称「TEPCO」。英文社名「Tokyo Electric Power Company, Incorporated」。電気・ガス業。昭和26年(1951)設立。本社は東京都千代田区内幸町。世界最大級の民間電力会社。供給区域は関東地方の1都6県と山梨県および静岡県の一部。前身は明治16年(1883)設立された「有限責任東京電燈会社」。東京証券取引所第1部上場。証券コード9501。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

東京電力
とうきょうでんりょく

2016年(平成28)まで存在した、おもに首都圏を供給区域とした日本の民間電力会社。かつては世界最大規模の電力会社であったが、2011年の福島第一原子力発電所の事故後、巨額の処理費用をまかなうため実質国有化された。さらに電力小売りの全面自由化(2016)や発送電分離(2020)に備え、2016年4月に、持株会社の東京電力ホールディングス(株)の傘下に燃料調達・火力発電事業、送配電事業、電力小売り事業の3子会社を抱える企業グループへ移行した。
 1883年(明治16)設立の東京電燈を前身とする日本最古の電力会社であった。1951年(昭和26)、電気事業再編成の一環として旧関東配電の供給区域と日本発送電の設備の一部を継承して発足。当初は水力発電所、1950年代後半から火力発電所、1970年代以降は原子力発電所を相次いで建設し、2010年の電源構成比(同)は火力59%、原子力27%、水力14%であった。福島第一・第二原子力、柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原子力、鹿島(かしま)火力、富津(ふっつ)火力など多数の発電所を保有し、販売電力量(2010年度)は2934億キロワット時と世界でも十指に入る規模であった。木川田一隆(きかわだかずたか)、平岩外四(ひらいわがいし)ら歴代の社長・会長は財界トップや政府の各種審議会委員を務めるなど日本の経済界を代表する存在であった。単に日本のエネルギー政策だけでなく、インフラ整備や通信自由化などでも指導的な役割を果たした。しかし2011年の東日本大震災で福島第一原発が全電源を喪失して冷却不能に陥り、炉心溶融や放射性物質の大量放出という過酷事故を起こした。損害賠償、放射性物質の除染、事故原発の廃炉などの処理費用は20兆円を超えると試算(2016年、経済産業省)されている。巨額費用を東京電力単独では支払いきれないため、2012年に東京電力は原子力損害賠償支援機構(現、原子力損害賠償・廃炉等支援機構)を通じて政府の出資を受け入れ、実質的に国有化された。[矢野 武]
『東京電力社史編集委員会編『東京電力三十年史』(1983・東京電力株式会社) ▽東京電力株式会社編・刊『関東の電気事業と東京電力』(2002) ▽橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

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