日本大百科全書(ニッポニカ) 「南スーダン」の意味・わかりやすい解説
南スーダン
みなみすーだん
South Sudan
アフリカ中東部の国。2011年7月、スーダン共和国の南部が独立して成立した。正式名称は南スーダン共和国The Republic of South Sudan。北部はスーダン、東部はエチオピア、西部は中央アフリカ、南部はケニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国に接する。面積は65万8841平方キロメートル(2020)。人口826万0490(2008)。首都はジュバ。ナイル川が国土を南北に貫き、平原やサバナが広がる。南のウガンダとの国境は3000メートル級の山が連なる山地となっている。また、ナイル川流域は世界有数の湿原を形成している。
1956年に独立したスーダンは、アラブ系が優勢でイスラム化を推進する北部と、伝統的宗教を信ずる人々およびキリスト教徒も多数いる南部とが統一して発足した。そのため、独立以来、北と南は対立関係にあった。南部で石油が発見されると、資源をめぐって対立は激化した。しかし、2002年ケニアにおいて北のスーダン政府と南のスーダン人民解放運動・スーダン人民解放軍(SPLM/SPLA)との間に和平が成立(マチャコス議定書)、さらに2005年には南北包括和平合意(CPA)が調印された。この結果、南に南部スーダン自治政府が樹立された。その後、2011年1月南スーダンで独立の是非を問う国民投票が行われ、そこでスーダンからの分離独立が選択され、同年7月9日に独立を果たした。初代大統領にはサルバ・キールSalva Kiir(1951― )が就任した。同月14日、国連加盟。
おもな産業は石油で、綿花、ラッカセイなどの農業やチーク材などの林業も行われている。国家収入のほとんどが石油収入に依存しているため、農林業など非石油産業の育成が課題となっている。民族はディンカ、シルック、ヌエルなどで、公用語は英語が用いられている。
[編集部]