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スクールカースト すくーるかーすと

知恵蔵の解説

スクールカースト

現代日本では、学校内外において生徒の小集団が階層化・序列化され、その固定化が身分制度の様相を呈しているといわれる。この指摘に基づく、「学校社会」内の小集団化の様相もしくは小集団そのものを指す言葉。このような階層化が、執拗(しつよう)ないじめの背景となっているともいわれる。
学校教育やニート、就労などに深い関心を持つ教育学者である東京大学の本田由紀教授によれば、インターネットの交流サイトのなかで、2006年以前からしばしば話題となってきた言葉で、学校現場で対人関係の能力や巧妙にうまく振る舞えるかどうかといったことなどから、カーストのようなランキングができてしまっているということを指すという。流行語の一種なので、厳密な定義があるわけではないが、中学・高校などで顕著に「存在」するとされて教育問題や社会問題を論じるときに用いられる言葉として、マスメディアなどにも取り上げられるようになった。スクールカーストには、上位、中位、下位などの序列を示す階層固有の何らかの呼び名も存在するという。
児童・生徒が分断された一部の小集団に属し、近年それらが階層化されているとの指摘は様々な論者からなされている。この格差を伴うカースト制のような身分的序列が固定化され、これを背景にいじめが常態化しているとの二重の仮説を前提に論ぜられることが多い。すなわち、児童・生徒のなかに階層的なグループ化が生じており、それらのグループの構成員によって、他のグループやグループに属さない児童・生徒を標的としたいじめや差別、無視、つまはじきといった攻撃的言動が一方的かつ恒常的に行われるようになるというものである。グループの成員が半固定化され、グループ間に序列が認められるなどの特性が、人種・民族や生業、家系などを基礎とする複雑で固定的な宗教的身分制度であるインドのカースト制に類似しているということである。ただし、言葉の独り歩きも見られ、教育とは無縁の論者が「カースト制」の語義から逆に敷衍(ふえん)して、スクールカーストをあたかも権力構造であるかのように論じたり、何らかの別空間にある児童・生徒のヒエラルキーとして、社会から切りはなして論じたりといった風潮もある。識者からは、問題の本質から離れ単なる言葉遊びになってはいないかとの批判も聞かれる。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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