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宗教教育 しゅうきょうきょういくreligious education

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宗教教育
しゅうきょうきょういく
religious education

特定の宗派の信仰へ導く教育。または,宗教に対する理解を深め,宗教によって人格を形成しようとする教育を意味することもある。国民の信仰する宗派が異なる場合,宗教教育は公立学校では行なわれがたく,日本では明治以来,公立学校から宗教教育が分離され,現行の教育基本法 (平成 18年法律 120号) でも「宗教に関する寛容の態度,宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は,教育上尊重されなければならない」 (15条) としながら「国及び地方公共団体が設置する学校は,特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない」 (同条2項) と規定しており,宗派的宗教教育は,宗教に関係ある私立学校日曜学校YMCAYWCAその他宗教団体の教育活動にゆだねられている。欧米では,宗教と教育は古くから密接な関係があったが,公教育制度の発展に伴って,宗派別宗教教育はしだいに公立学校から分離され,全体として公立学校は俗化の傾向をたどった。宗派的宗教教育のおもな内容は,(1) 宗派の教義,(2) 聖典,(3) 宗派の歴史,聖人の事跡,(4) 実践上の倫理,(5) 賛美歌,祈祷文,(6) 宗派の祝祭日の意義,儀式などである。

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デジタル大辞泉の解説

しゅうきょう‐きょういく〔シユウケウケウイク〕【宗教教育】

宗教的情操や信仰心を養うことを目的とする教育。日本の場合、国公立学校が特定の宗派の宗教教育を行うことを禁止しているが、私立学校では自由参加の形態でこれを行うことを認められている。

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百科事典マイペディアの解説

宗教教育【しゅうきょうきょういく】

信仰心,宗教的情操や知識を高めることを目的とする教育活動。近代以降,公教育と宗教との関係が問題となり,フランスで公教育から一切の宗教を除いているのをはじめ,公立学校からの宗教教育の排除(教育の世俗化)が世界的傾向である。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうきょうきょういく【宗教教育】

広義には聖職者養成を目的とした教育を含むが,一般的には,世俗人の絶対者(神・仏)への帰依,信仰心の育成を目的とした教育をいう。宗教教育は,絶対者の前における人間の平等を教えた反面,現世の秩序・権力への服従を肯定しがちな傾向を示した。学校における宗教教育の位置づけは,(1)教育の最高目標,(2)諸教科のなかの一つ,(3)学校教育からの排除(教育の世俗化)の三つに大きく分けられるが,近代学校では(1)(2)から(3)への移行が世界的流れといえる。

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大辞林 第三版の解説

しゅうきょうきょういく【宗教教育】

宗教に関する知識や理解を深め、宗教心や宗教的情操を養う教育。日本では国公立学校が特定宗派の宗教教育を行うことは禁じられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宗教教育
しゅうきょうきょういく

宗教に関する知識を豊かにし、宗教の理解を深めることによって、人間の宗教的敬虔(けいけん)と宗教的情操を高めることを目ざす教育。
 宗教は法のような外部的要請とは異なり、個人の内面に働きかけることによって、教育の基本的目標でもある人格的成熟と文化的発展の基礎を提供する。この意味で、宗教は教育の目標と密接な関連をもっている。したがって宗教的事項の教育内容への組み込みが、当然のこととして要求される。しかしその際、宗教に関する歴史的・一般的知識を諸宗教に対して公平に取り扱うことが必要である。これは、宗教に対する偏見と誤解を是正し、正しい宗教的情操を育成する前提でもある。とりわけ宗教的寛容については、配慮がなされなければならない。宗教的寛容は、各人の世界観的立場や人格の尊重に通じる。
 一般に人は宗教の問題にきわめて不寛容な態度をとり、歴史的にも宗教が迫害や戦争の原因ともなってきた。他者の信仰に寛容であるということは、自己の立場の真理を確信しつつ、他者の立場と人格を尊重し、同時に、同情や思いやりを示すという、人間同士の倫理的関係を自覚することでもある。この自覚は宗教教育だけでなく、広く道徳の問題でもあるが、この意味で宗教教育が道徳教育の基礎でもあると考えられている。[田代尚弘]

日本

わが国における宗教教育は、現行の教育基本法第9条において、宗教に関する寛容の態度と、社会生活における地位の尊重とが説かれているが、国公立学校における宗教教育の中立性の保持、あるいは特定宗派のための国公立学校における宗派教育の禁止が定められている。私立学校においては宗教教育の自由が留保されている。教育基本法の立場は、憲法第19条の「思想及び良心の自由」、第20条の「信教の自由」の保障を教育の場で具現化しようとするものである。
 「良心の自由」は究極的に個人の内面にかかわる要件であり、外部からの強制を加えることは許されない。その意味で「良心の自由」は「信仰の自由」に該当する観念ということもできる。「信仰の自由」の侵害者とは、国家その他の団体、個人を問わない。とくに国家は、宗教的信仰について価値判断を下すことはできないし、また判断を下してもいけない。国家は、国民の好む宗教を選択する自由を保障しなければならず、この限りで国家による宗教的中立性とその教育の中立性が要請されるのである。
 歴史的には、1899年(明治32)8月3日文部省訓令第12号において、公立学校、あるいは小学校令や中学校令に基づく私立学校での宗教教育は禁止された。だが神道(しんとう)は制度的に宗教から除外されていたので、実質的には神道が国教とされ、教育と結合された。やがて国家主義体制の強化のなかで、精神主義と道義の高揚の必要から、文部省は1935年(昭和10)に学校における「宗教的情操の涵養(かんよう)」の指令を発し、学校での特定宗派に偏しない一般的・宗教的情操教育を奨励した。第二次世界大戦後は、神道は国教的性格を失い、教育から完全に払拭(ふっしょく)され、個人の「信仰の自由」と国家による宗教的中立性が憲法上確定された。[田代尚弘]

外国

諸外国においても公教育と宗教のかかわり方は、ほぼ次のように分かれる。(1)フランスのように公立学校で宗教教育を行わない型、(2)ドイツやイギリスのように公立学校で宗教教育、宗派別宗教教育を行うもの、(3)アメリカのように一般的宗教科目を設けて、一般的宗教教育だけを行うもの、の3類型である。[田代尚弘]
『平塚益徳著『学校教育と宗教』(1951・目黒書店) ▽田中耕太郎著『教育基本法の理論』(1961・有斐閣)』

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