日本大百科全書(ニッポニカ) 「スフーミ」の意味・わかりやすい解説
スフーミ
すふーみ
Сухуми/Suhumi
ジョージア(グルジア)に属するアブハジア自治共和国の首都。黒海東岸に臨む港湾都市。人口11万0300(2003推計)。紀元前6世紀からギリシア商人が、後1世紀にはローマ人が要塞(ようさい)を建設した。8世紀前半のジョージア人の年代記にはツフムЦхум/Tshumと記された。のち貿易が盛んに行われ、12世紀からはジェノア人の商館も置かれた。16世紀からはトルコの支配を受け、1810年にロシア領となり、ザカフカス地方の農産物積出し港となった。1847年に市制を敷き、少しのちにスフーミ軍管区の中心、1921年には創設されたアブハズ・ソビエト社会主義共和国(現、アブハジア自治共和国)の首都となった。皮革、日用品、食品加工、ガス器具などの工場がある。気候は夏やや暑く(7月平均気温24℃)、冬は北にカフカス山脈を背負うためきわめて暖かく(1月平均気温6℃)、年降水量1460ミリメートルと良好なため、有数の療養・保養地となっている。病理学、内科治療学、厚生省付属転地療養所、物理療法研究所などの医療機関、茶業、亜熱帯農業などの研究施設がある。科学アカデミー付属植物園の一部約7ヘクタールは公開されている。鉱泉(弱い硫化水素泉や食塩泉)もあり、多くのサナトリウム、保養所もある。近隣20市町村を結んで黒海沿岸観光道路が走り、ガグラ、ノビ・アフォンなどの小都市も保養地として知られるに至った。
[渡辺一夫]