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スーパー耐性菌 すーぱーたいせいきんsuper resistant bacteria

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知恵蔵の解説

スーパー耐性菌

すべての抗生物質に対して薬剤耐性を持つ菌のこと。薬が効かないので免疫抵抗力の低下した人が感染すると、効果的な治療法がなく、死に至る場合もある。医療施設には免疫抵抗力の低い患者が集中しており、院内で集団感染が起こるリスクも高まる。
院内感染の起因菌としては抗菌薬の一種であるメチシリンに耐性のある黄色ブドウ球菌(MRSA)が有名だが、これに対してこれまではバンコマイシン特効薬として使われ、バンコマイシンにも耐性を獲得した菌にはニューキノロン、ニューキノロンにも耐性のある菌にはカルバペネムが使用されてきた。これらすべての抗菌薬が効かない菌がスーパー耐性菌で、今のところアシネトバクター、緑膿菌、クレブシエラで見つかっている。
これらはいずれもグラム陰性菌で、健康な人が感染しても無症状のまま体内の免疫機構によって排出されてしまう弱毒性のものであり、水回りなど、ふつうの環境中に存在する。たとえば、人工呼吸器や点滴の管、挿入口などに存在して、患者に感染を起こし、さらに拡大させることになる。
新薬が開発される見込みはまだなく、今は、スーパー耐性菌を分離したらその情報を共有し、感染防御策を強める他にない。
多剤耐性遺伝子は異なる種類の菌の間でもやりとりされるため、弱毒性の菌で分離された遺伝子であっても強毒性の菌に移ることがあり得る。2009年5月に国内で初めて分離されたNDM-1という多剤耐性遺伝子を持つ大腸菌は、新たなスーパー耐性菌を発生させる原因にもなるとして世界中で非常に警戒されている。

(石川れい子  ライター / 2010年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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