タキーヤ(英語表記)taqīya

世界大百科事典 第2版の解説

タキーヤ【taqīya】

〈恐れ〉〈警戒〉を意味するアラビア語であるが,イスラムの用語としてはキトマーンkitmān,すなわち〈危害を加えられる恐れのある場合に意図的に信仰を隠すこと〉の意味に用いられる。最初にタキーヤを認めたのは,ハワーリジュ派の一派のイバード派であったが,のちシーア派諸派によって継承発展させられた。シーア派は,信仰は心と舌(言葉)と手(行為)によって表現されるが,もし自己または同信者の生命財産に危害の加えられることが確実であるか,またはその可能性が強ければ,舌と手による信仰の表現は隠してもよいとした。

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世界大百科事典内のタキーヤの言及

【シーア派】より

…宗教法では,巡礼先などでの一時婚ムトアmut‘aが認められる。また迫害のもとでの信仰擬装(キトマーンkitmān,タキーヤtaqīya)を認める。スンナ派【加賀谷 寛】。…

【イバード派】より

…彼らはイブン・アッズバイルの支配を受け入れてバスラにとどまり,第2次内乱の平定(692)後はウマイヤ朝の支配を甘受した。またタキーヤ(危害を恐れて信仰を隠すこと)を認め,コーランにハッドと定められた罪を犯した者はムーミン(信者)ではないが,ムワッヒド(一神教徒)であるとして,同じイスラム教徒としての共通性を重視した。このことから,彼らはイスラム思想史上初めて人間の罪の問題を取り上げ,のちカダルQadar派がこれを受け継いだ。…

【シーア派】より

…宗教法では,巡礼先などでの一時婚ムトアmut‘aが認められる。また迫害のもとでの信仰擬装(キトマーンkitmān,タキーヤtaqīya)を認める。スンナ派【加賀谷 寛】。…

【ハワーリジュ派】より

…また同派は調停に同意したアリーをはじめ,同派以外のムスリムを致命的な罪を犯したとして,カーフィル(無信仰者)とみなしたが,そのことが,ムスリムにとっての罪とは何であるのか,また罪は人間の責任かという問題を提起することになった。タキーヤ(危害を加えられる恐れのある場合に意図的に信仰を隠すこと)は最初ハワーリジュ派によって認められ,のちシーア派によって継承された。【花田 宇秋】。…

※「タキーヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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