タラ戦争(タラせんそう)
Cod Wars
アイスランドとイギリス間に起こった3度にわたる漁業専管水域問題をめぐる紛争。主な漁獲物がタラのため「タラ戦争」と呼ばれた。アイスランドが漁業資源保護のため専管水域を4カイリから12カイリ(1958~61年),50カイリ(72~73年),200カイリ(75~76年)へ拡大することを宣言したことから,イギリス海軍とアイスランドの沿岸警備船の衝突が起こり,逮捕者が出る騒動になった。76年には6カ月間のイギリス漁船操業の承認という限定的な条件で協定が締結されるなど,3度ともアイスランドの主張が通る結果に終わった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
タラ戦争
タラせんそう
漁業専管水域をめぐってアイスランドとイギリスの間に生じた紛争。 1972年9月にアイスランド政府がタラの漁業専管水域を 12カイリから 50カイリに拡大する宣言を行なった結果,イギリスと海上紛争が生じて断交寸前までいったが,73年 10月いったん合意が成立。 75年7月にアイスランドがさらに 200カイリに拡大したため紛争が再発したが,76年までに終息した。
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世界大百科事典(旧版)内のタラ戦争の言及
【アイスランド】より
…1970年にEFTA加盟。漁業権益保護のため専管水域を他国に先がけて12カイリ(1958),そして200カイリ(1975)に拡大し,イギリス等との間でいわゆるタラ戦争を余儀なくされた。主要な貿易相手国は,北欧諸国以外では,イギリス,ドイツ,アメリカ,オランダ,日本,オーストラリア,フランス。…
【漁場】より
…結局,協定が締結され,何回もの改訂を経てやっと共存の道が開けたが,これには10年以上かかっている。国際的な紛争も数多くあるが,中でも有名なのはアイスランドとイギリスのタラ戦争であろう。輸出の80%を水産物が占める水産国アイスランドが好漁場である自国の近海の資源を守るため,領海を広げてイギリス,ドイツのトロール船を締め出そうとして起きたもので,領海を12カイリにした1958年からの第1次,50カイリに広げた72年からの第2次,さらに200カイリ制を布いた75年からの第3次と長年にわたって続いた。…
【タラ(鱈)】より
…幸いにも開戦の危機はかろうじて避けられたが,その後も両国の深刻な対立関係は続いている。これがいわゆる〈タラ戦争〉であるが,このような事件の経過もタラ資源が国際的に大きな関心が寄せられていることを物語っている。【日比谷 京】
[料理]
タラの名は《延喜式》にも《和名抄》にも見られず,室町時代になってやっと文献に現れるようになる。…
※「タラ戦争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」