改訂新版 世界大百科事典 「チャガタイ語」の意味・わかりやすい解説
チャガタイ語 (チャガタイご)
Čagatay
トルコ系言語(チュルク諸語)を話す人々が,かつて中央アジア(旧西チャガタイ・ハーン国領を含む)で用いていた文字言語。この古典文語は大部分アラビア・ペルシア文字によって表記されていて,ティムール朝(1405-1506)で発達し,国家の公用語・外交語として用いられ,また詩人アリー・シール・ナバーイーの作品に代表される文学語でもあった。16世紀以後もヒバ・ハーン国,カシュガル・ハーン国,ブハラ・ハーン国,ホーカンド・ハーン国などにおける共通文語として20世紀初めまで機能していた。チャガタイ文語を支えていた諸方言は,現代トルコ系諸語(チュルク諸語)のうちウズベク語とウイグル語とに近い関係をもって引き継がれている。チャガタイ文語は,1929年ラテン文字表記となったウズベク文語と,同じく30年ラテン文字化したウイグル文語とに取ってかわられた。後にソ連ではロシア文字による正書法に移り,中国ではアラビア文字が復活している。両言語の話し手は1300万人(1979)と600万人(1982)である。
執筆者:竹内 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報