ウイグル語(読み)ういぐるご(英語表記)Uighur

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウイグル語」の意味・わかりやすい解説

ウイグル語
ういぐるご
Uighur
Uyghur

トルコ系諸言語の一つ。古代、中世ウイグル語と区別するために新ウイグル語ともよばれる。現代ウイグル語は、中国の新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区で約720万人(1990)、カザフスタン共和国などで約24万人(1986)が使用している。トルコ語族のうちウズベク語とともに東方語派を形づくる。新疆ウイグル自治区では、カシュガルトゥルファンなどの中央方言を土台にした正書法が採用されている。文法構造や語順は、öy(家)、öyniŋ(家の)、öyni(家を)、öyge(家へ)、öyde(家で)、öydin(家から)のように、日本語とよく似ている。長い間アラビア・ペルシア文字を用いて表記されていたが、中国では1930年ラテン化字母が制定され、途中アラビア字の改訂を挟み、76年以後は漢語拼音(ぴんいん)字母による正書法が行われていた。しかし、1982年からアラビア・ペルシア文字の正書法が復活している。カザフスタンではソ連時代の1930~46年にラテン化が進められ、のちキリル字母を採用している。

[竹内和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウイグル語」の意味・わかりやすい解説

ウイグル語
ウイグルご
Uighur language

(1) 中国新疆とウズベキスタンを中心に用いられている言語。新ウイグル語ともいい,古くロシアではタランチ語とも呼ばれた。話し手は 570万人以上。チュルク語の一つで,ウズベク語とともに,その南東方言 (チャガタイ方言ともウイグル方言とも,またウズベク方言ともいう) を形成する。サラール語やサリグ=ウイグル語の文字言語としても使われている。アラビア文字を用いていたが,旧ソ連では 1930年にローマ字に,47年からはロシア文字に替えられた。中国ではそのままアラビア文字を用い続けている。 (2) 古ウイグル語の意味で,9世紀から 14世紀にかけて用いられたウイグル文語をさす。ウイグル文字,ネストリアン=シリア文字,アラビア文字で書かれた文献が残されている。

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