デルタの結婚式(読み)でるたのけっこんしき(英語表記)Delta Wedding

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デルタの結婚式」の意味・わかりやすい解説

デルタの結婚式
でるたのけっこんしき
Delta Wedding

アメリカの女流作家ユードラ・ウェルティの最初の長編小説。1946年刊。1923年の秋、ミシシッピ州デルタ地方の名家フェアチャイルド家の次女ダブニーの結婚式に集まる三代の家族の9日間の動静を通して南部の典型的生活を描いた作品。空と大地と、大地と入り江とが一つに溶け合うデルタを舞台に、一族という一つの統一体のなかで愛と孤独の問題を、直系の家族および嫁、娘婿ら部外者の対立する二つの視点を絡ませながら描く。挿話の積み重ねと豊かな外面描写により、一族の人々の意識の底によどむ2週間前のダブニーの叔父夫婦の危機的状況を中心に、彼らの感性浮き彫りにされる。

[武田千枝子]

『丸谷才一訳『デルタの結婚式』(『世界の文学51』所収・1967・中央公論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android