ニトロパラフィン(読み)にとろぱらふぃん(その他表記)nitroparaffin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニトロパラフィン」の意味・わかりやすい解説

ニトロパラフィン
にとろぱらふぃん
nitroparaffin

飽和脂肪族ニトロ化合物の総称。一般式CnH2n+1NO2あるいはRNO2(Rはアルキル基)で表される。低級ニトロパラフィンは工業的に生産され、プロパンと硝酸または二酸化窒素を混合し、約400℃に加熱すると生ずるニトロメタンニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパンの混合物を分留してそれぞれの製品を得る。一般的合成法としては、ハロゲン化パラフィンを亜硝酸銀と反応させる。ジニトロパラフィンは、オレフィンと硝酸を低温で反応させて製造する。

 水にほとんど不溶で、有機溶媒に可溶の無色の液体である。種々の溶剤やロケット用推薬として用いられる。毒性は高くないが、肝臓、腎臓(じんぞう)を侵し、貧血をおこす。第一、第二ニトロパラフィンは弱い酸で金属と塩をつくる。重金属塩は爆発性がある。ナトリウム塩を濃硫酸と反応させると、第一ニトロパラフィンではアルデヒド、第二ニトロパラフィンではケトンを生ずる(ネフ反応)。ニトロパラフィンは種々の付加反応をおこし、還元すればアミンを生ずるので、有機合成の中間体として有用な化合物である。

[加治有恒・廣田 穰 2015年3月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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