クロロホルムに似たかなり強い臭気をもつ無色の液体で,化学式CH3NO2。融点-28.37℃,沸点101.25℃。エーテル,アルコール,四塩化炭素,芳香族炭化水素によく溶けるが,脂肪族炭化水素にはあまり溶けない。水に少し溶け,また水もニトロメタンに少し溶ける。水溶液はリトマス試験紙で酸性を呈する。構造としては,微量に存在するアシニトロ型(イソニトロ型)との互変異性を示す(ニトロ化合物)。したがって水酸化アルカリと反応しアシニトロ型の爆発性のアルカリ塩を生ずる。種々の染料,油脂,蠟,セルロース誘導体,樹脂類を溶解し,とくにニトロセルロース,アセチルセルロースなどのよい溶剤で,塗料の分野でよく用いられる。激しい衝撃で爆発し,また弱いながら毒性を有する。実験室的には,モノクロロ酢酸ナトリウムCH2ClCOONaと亜硝酸ナトリウムNaNO2との反応からニトロ酢酸CH2(NO2)COOHを経て合成するか,臭化メチルCH3Brと亜硝酸銀AgNO2との反応で合成する。工業的には,プロパンなどの低級炭化水素ガスを高温下硝酸でニトロ化した生成物の分留で得られる。
執筆者:岡崎 廉治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
CH3NO2(61.04).クロロ酢酸と亜硝酸ナトリウムとを加熱するか,ヨウ化メチルに亜硝酸銀を作用させると得られる.無色の液体.融点-29 ℃,沸点101.2 ℃,46.6 ℃(13.3 kPa),27.5 ℃(5.3 kPa).1.1322.1.3806.水に難溶,エタノール,エーテル,ジメチルホルムアミドに可溶.水溶液は酸性を呈する.ニトロン酸としてアルカリ金属と塩をつくり,爆発性の固体となる.溶剤,ロケット燃料,界面活性剤,医薬品原料などに用いられる.有毒である.[CAS 75-52-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ニトロメタン
CH3NO2
分子量 61.0
融点 -28.37℃
沸点 101.25℃
比重 1.1580(測定温度4℃)
屈折率 (n)1.3797
燃焼熱 169.5kcal(定圧、液体)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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