バトラー(Samuel Butler、詩人)(読み)ばとらー(英語表記)Samuel Butler

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バトラー(Samuel Butler、詩人)
ばとらー
Samuel Butler
(1612―1680)

イギリス詩人。19世紀の同名の作家と区別して「ヒューディブラスバトラー」とよばれる。反清教徒的風刺でチャールズ2世らを喜ばせたが、生涯痛風と貧困に悩まされた。清教徒で狂信的なルーク卿(きょう)をモデルとして擬英雄詩体を駆使した『ヒューディブラス』(1662~78)は、人間の偽善を痛烈に暴露し、「比喩(ひゆ)の鬼」らしい誇張脱線の連続によってラブレー的戯画を完成した。『人さまざま』(1759刊)は、ギリシアの哲学者テオフラストスの『性格論』の伝統を引いている。

[樋渡雅弘]

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