バルチック海運指数(読み)ばるちっくかいうんしすう(英語表記)Baltic Dry Index

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天然資源や穀類などを運ぶ外航貨物船の運賃水準を表す国際指数。世界的な商品輸送コストの指標であり、英語名を略してBDIとよばれることもある。イギリスのロンドン海運取引所(バルチック海運取引所Baltic Exchange)が1985年以来、運賃や海運会社が船主から船を借りる際に支払う料金(用船料)を集計し、1985年1月4日を1000として指数化している。運賃・用船料の集計対象は、アメリカ―ヨーロッパ間やアメリカ―アジア間などの主要海域で、1年以下の短期契約(スポット)で不定期に運航する、乾貨物(ドライカーゴdry cargo。鉄鋼石、石炭、穀物などをさす)を梱包(こんぽう)せずに輸送するばら積貨物船である。世界の海運ブローカーから情報を聞き取って算出し、毎営業日に1回、ロンドン時間13時(日本時間22時、夏時間中は同21時)に登録企業向けに発表している。バルチック海運指数は原則としてばら積貨物船の海上輸送需要と供給量で決まることから、世界的な景気動向を表す指標であり、世界経済や商品市況の先行指標であるとされる。しかしハリケーン、モンスーン、大地震などの自然災害や港湾ストライキなどの影響で変動することもある。
 21世紀に入って中国、インドなど新興国の資源需要増大を背景に、ばら積貨物船の輸送需要が急増し、バルチック海運指数は2007年10月に1万の大台を突破し、2008年5月20日には1万1793の史上最高値に達した。しかしリーマン・ショック以降は、世界的不況による海上輸送の需要低迷で1000を割り込んだ。その後も、ばら積貨物船の世界的な供給過剰は解消せず、2016年1月には1985年の集計開始以来初めて400を下回り、2016年2月10日には290を記録した。[矢野 武]

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