バロー(Jean-Louis Barrault)(読み)ばろー(英語表記)Jean-Louis Barrault

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バロー(Jean-Louis Barrault)
ばろー
Jean-Louis Barrault
(1910―1994)

フランスの俳優、演出家。9月8日、薬剤師の子としてパリ近郊に生まれる。画家を志してパリに出るが、シャルル・デュランのアトリエ座に入って端役を演じながらエチエンヌ・ドクルーとパントマイムに熱中した。アントナン・アルトーの影響を強く受け、1935年に前衛的なマイム劇『母をめぐって』を上演。同年から多くの映画に出演しているが、マルセル・カルネ監督の『天井桟敷(てんじょうさじき)の人々』(1944)で世界的に有名となった。一方、40年にコメディー・フランセーズに招かれて、『フェードル』の演出(1940)やクローデル大作『繻子(しゅす)の靴』初演(1943)の演出・主演で名声を得た。46年には妻マドレーヌ・ルノーとともにルノー―バロー劇団を結成。マリニー座でレパートリー方式をとって古典から前衛劇まで幅広い演目を取り上げ、とくに、クローデルの『クリストフ・コロンの書』(1953)で「全体演劇」を主張する。59年からテアトル・ド・フランスの初代劇場長としてオデオン座を主宰するが、68年の五月革命で追われ、オルセー駅を改造した大劇場を経て、パリ北東部の新劇場テアトル・ド・ロンポワンで活躍していた。60年と77年に来日公演を行った。

[安堂信也]

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