バン・チエン遺跡(読み)バン・チエンいせき(英語表記)Ban Chieng

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バン・チエン遺跡」の意味・わかりやすい解説

バン・チエン遺跡
バン・チエンいせき
Ban Chieng

タイ北東部ウドンタニ県にある先史時代墓葬遺跡。この遺跡の彩文土器を伴う青銅器文化の年代が熱ルミネセンス法で測定した結果,前 4000年紀と発表され,その古さが学界に衝撃を与えた。また各種の盗掘品がバン・チエンのものとして骨董市場から多量に海外に流出し問題となった。 1967年以降,タイ芸術局やペンシルバニア大学などにより調査が続けられ,しだいにその文化内容は明らかになりつつあるが,各種遺物や墓の編年は十分に整理され確定しているとは言いがたいうえ,全体の絶対年代に関しても疑問が多く,いまだ批判に耐えうる報告は出されていない。墓の年代は青銅器時代,鉄器時代初期が中心で,土器には典型的な淡黄色の化粧土に赤色で彩文を施したもののほか,それに先行する有刻彩文土器や縄蓆文土器,後続する紅陶衣磨研土器がある。青銅器では斧や鏃のほか腕輪などの装身具,鉄器では斧や刀子,さらにガラス玉,青銅器の鋳型,土製当板,籾殻が発見されている。 1992年世界遺産の文化遺産に登録。

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