フロギストン

デジタル大辞泉 「フロギストン」の意味・読み・例文・類語

フロギストン(〈ドイツ〉Phlogiston/〈英〉phlogiston)

燃焼を説明するために想定されていた成分フロジストン。→フロギストン説

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「フロギストン」の意味・読み・例文・類語

フロギストン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] phlogiston ) 燃焼を説明するために想定されていた成分。燃素。フロジストン。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「フロギストン」の解説

フロギストン
フロギストン
phlogiston

燃焼に関係する架空の元素.1669年にJ.J. Becherがはじめた燃焼の説のなかでは,“燃える土”(terra pinguis)とよばれていたが,1703年にG.E. Stahl(シュタール)によってこの元素に与えられた名称.“可燃物”を意味するギリシア語φλογιστο(phlogistos)に由来する.すべての可燃物はフロギストンと残りの脱フロギストン物質の化合でできており,燃焼はフロギストンが遊離することで,燃焼の結果,脱フロギストン物質,すなわち灰が残るという説.Stahlは金属の空気中の腐食も燃焼の一形式で,空気はフロギストンを運ぶ役割をすると考えていた.18世紀後半に,燃焼の結果の脱フロギストン物質である灰のほうが元の金属より重いことを見いだしたA. Lavoisier(ラボアジエ)によって,この説は打ち破られた.宇田川榕菴は天保8年(1837年)に出版した「舎密開宗」で,「斯荅爾(スタル)ノ波羅義斯敦(ホロギストン)説ヲ佛蘭西ノ大賢刺暉西爾(ラホイシール)ガ看破シ新タニ正説ヲ建ツ」と紹介している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフロギストンの言及

【化学】より

…1669年ベッヒャーJohan Joachim Becher(1635‐82)は,古代ギリシア時代から漠然と考えられていた可燃性の本体に〈油性の土〉という名を与えた。この考え方をさらに推し進めたG.E.シュタールは,可燃性の本体を〈点火する〉という意味のギリシア語にちなんで〈フロギストンphlogiston〉と命名した。フロギストン説によると,燃焼は可燃性物質からのフロギストンの放出であった。…

※「フロギストン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android