ブラント(Sebastian Brant)(読み)ぶらんと(英語表記)Sebastian Brant

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブラント(Sebastian Brant)
ぶらんと
Sebastian Brant
(1457/58―1521)

シュトラスブルク生まれのドイツの法学者、詩人。母校バーゼル大学の人文主義的空気に触れ、詩作も試みた。とくに『阿呆船(あほうぶね)』(1494)は有名で、あらゆる階級の人々を阿呆船の乗組員乗客にたとえ、その無知、迷誤、不正を厳しく批判した。全編112章の風刺詩教訓詩からなり、各章に添えられた木版画とともに一時全ヨーロッパを風靡(ふうび)し、「阿呆(愚者)文学」のはしりとなった。

[尾崎盛景]

『尾崎盛景訳『阿呆船』上下(1968、84・現代思潮社)』

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