愚者(読み)ぐしゃ

精選版 日本国語大辞典「愚者」の解説

ぐ‐しゃ【愚者】

〘名〙 愚かな人。ばかもの。⇔賢者
※菅家文草(900頃)二・詩情怨「一人開口万人喧、賢者出言愚者悦」
※うもれ木(1892)〈樋口一葉〉八「愚者(グシャ)に持たせて不用の財、引上げる事の為なり」 〔中庸〕

おれ‐もの【愚者】

〘名〙 愚かな者。ばかもの。しれもの。
蜻蛉(974頃)中「わが一人のをれ物にて向かひ居たれば」

おろか‐もの【愚者】

〘名〙 おろかな者。ばかもの。ぐしゃ。
浄瑠璃・心中宵庚申(1722)中「とりしめのないおろか者伊右殿夫婦の気には入まい」

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世界大百科事典 第2版「愚者」の解説

ぐしゃ【愚者】

通常の知性理性を備えていないために,劣等な者として一般に排除の対象となる存在。知能的に低劣というよりも,むしろ通常の思考回路を経ない言動と行為のために,かえって理性に隠蔽されることなく人間本来の霊能,弾力的な発想,強力な挑発力を発揮することがあるとされる。愚者は世の中の道徳律にしばられることなく愚行を容認され,窒息状態にある日常的理性を解放する。このような愚者の役割を制度化したものが,中世・ルネサンス期ヨーロッパの〈愚者の饗宴〉や宮廷道化である。

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世界大百科事典内の愚者の言及

【トリックスター】より

…トリックスターは,策略を用いる狡猾さ・賢さを賞賛される一方,欲望を制御できずに失敗する愚かさ・滑稽さを笑われる者であり,また人間に火や文明をもたらす文化英雄的な神であると同時に,単なるいたずら好きの反社会的な破壊者でもある。そこでは,善なる文化英雄と悪しき破壊者,あるいは賢者と愚者という,法や秩序からみれば一貫性を欠いた矛盾する役割が,一主人公の属性として語られる。 トリックスター神話は,19世紀後半から20世紀にかけて,北アメリカのインディアン諸社会の説話群が紹介されて以来,研究者の注目するところとなり,またアフリカ諸社会にも同様の説話群が広くみられることが報告されている。…

※「愚者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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